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カメラ業界の現状と未来を数字で分析する

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背景

最近、デジタルカメラの売上が落ち込んでいるというニュースを見ます。

それによって、事業の縮小やリストラ(希望退職)も行われており、カメラ業界が衰退しているといわれています。

果たして実際にはどうなのでしょうか?

"ニコン、希望退職に1143人応募 想定上回る  :日本経済新聞"
 
"【追記あり】リコーがカメラ事業縮小へ、GRやペンタックスブランド消滅か - エキサイトニュース"
 
"キヤノンが売上高伸び悩み苦戦 かつての「超優良企業」の現状とは - ライブドアニュース"

 

本記事の目的

 本記事では、「カメラ業界が衰退している」といわれているが、実際問題どんな状況なのか?というのを数字で確認するというのが目的です。
具体的には、CIPAというカメラメーカーなどで構成される社団法人のレポートから、デジタルカメラの販売台数の推移を見ていきます。*1
(CIPAには、NikonCanonSonyをはじめ、代表的なカメラメーカーが参加しています)。
デジタルカメラの分類は、CIPAのレポートと同様に「レンズ一体型」「レンズ交換式一眼レフ」「レンズ交換式ミラーレス」の3種類とします。
 

カメラ業界の現状

デジタルカメラの出荷台数の推移 

1990年から2016年までのデジタルカメラの出荷台数(グローバル)の推移をグラフにまとめました。
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1995年に、NikonCanonからそれぞれ初めてとなるデジタルカメラが発売されました。
デジタルカメラが発売されてから約15年間、順調に出荷台数も伸びてきており、2008年には年間1億台以上デジタルカメラを出荷していました。
また、2000年頃にはデジタル一眼レフ、2010年頃にはミラーレスが登場するなど、カメラ業界は成長を続けてきました。
 
しかし、2010年を境に急激に右肩下がりとなっています。
2008年には年間1億台以上あった「レンズ一体型」は、2016年には約1000万台にまで減少しました。
これがカメラ業界の現状であり、本記事の冒頭で示したようなニュースにつながっていると考えられます。
 
果たして、この原因は何なのでしょうか?
 

スマートフォンの普及による影響

みなさんも想像していたかもしれませんが、スマートフォンの影響が大きいのではないでしょうか。

最近では、ガラケーを見かけることはほとんどなく、電車に乗っていても多くの人がスマートフォンを使っている光景が当たり前となりました。

 
そこで、スマートフォンの出荷台数を先程のグラフに加えてみました。
*2f:id:naha000:20170422070140p:plainグラフをみるとスマートフォンの普及による影響が明らかですね。
 初代のiPhoneは2007年に発売されましたが、そこから爆発的に普及していきました。
(グラフが見づらくなるので、3億台を上限としていますが、2017年現在までこのまま線形的に伸び続けています)。
 
レンズ一体型カメラ
2010年には、スマートフォンの出荷台数が、デジタルカメラの出荷台数を逆転しました。そこを境に、「レンズ一体型」の市場は一気に縮小していることがわかります。
 
スマートフォンが普及したことによって、誰でも簡単に写真が取れるようになり、スマートフォンとの差別化ができない「レンズ一体型」のカメラは、スマートフォンに置き換わるようになったと考えられます。
 
レンズ交換式カメラ(一眼レフ、ミラーレス)
「レンズ交換式」カメラについても、2012頃ピークに徐々に減少していることがわかります。ただし「レンズ一体型」よりは、傾きが緩やかです。
「レンズ交換式」のカメラは、一般的に「レンズ一体型」のものより高画質・高性能であり、レンズの性能によるボケや望遠の効いた写真がとれるという利点があります。
スマートフォンのレンズは一体型であるため、このような点において差別化されて、「レンズ交換式」カメラは大きな影響を受けていないと考えられます。
 

カメラ業界の今後の見通し

ここまで、カメラ業界にとってマイナスの要素を多く述べてきましたが、プラスの要素もあります。それはユーザーは写真を撮ること自体は好きであるということです。
これはInstagramFacebookで、自分の撮った写真をシェアしていることからもわかります。
観光地ではもちろん、日常的にもカフェで写真を撮ったり、子供の写真を撮ったり、ペットの写真を撮ったり、写真を撮ること自体はみんな好きなのです。
 
ただし、スマートフォンの圧倒的な手軽さとSNSに気軽投稿できる便利さ対して、画質や性能面で差別化できないかぎりデジタルカメラを買いたいと思わないのではないでしょうか。
その点では、「レンズ一体型」は衰退していき、「レンズ交換式」は今のところ生き残っていると考えられます。
ただし、iPhoneのポートレードモードによるボケなど、ソフトウェアの進化によって「レンズ交換式」の特徴を取り入れようという試みもあり、今後の動向をウォッチしたいと思います。
 

まとめ

  • 「レンズ一体型」は、スマートフォンの手軽さ・便利さに負けて衰退している。
  • 「レンズ交換式」も少なからず影響はあるものの、画質や性能面で差別化できているため「レンズ一体型」ほど顕著ではない。
  • スマートフォンもソフトウェアによるボケ加工など、デジタルカメラの画質・性能に近づこうとしている
  • 一方で、InstagramFacebookなどを利用しているユーザーは多く、写真を撮ること自体は好きであり、潜在的な需要はある。